ニワトリの

ここが Hen!

(第7話 傷ついた振りをする)


 以前,テレビでダチョウ一家がライオンに襲われるシーンを見た.走鳥類のダチョウのオスは家族を守るため,片方の羽を下ろし傷ついた振りをしていた.当然,ライオンは本能で傷ついた?オスのダチョウに狙いを定める.ところが,本当は元気のいいオスのダチョウはライオンなどに簡単には捕まらない.ぎりぎりまで引きつけておいて逃げることを繰り返す.その間にメスやヒナは安全な場所に避難するのである.この話が,リチャード・ドーキンスが書いた「The Selfish Gene(利己的な遺伝子)」による利他的行動として紹介されている.他者に尽くす利他的行動はよく美談になるが,その中でも子供,家族のために身を賭して行動するの種の保全,利己的な遺伝子のためと考えれば比較的分かりやすい行動の一つである.

 同じように,ニワトリも犬などに襲われたとき,オスは傷ついた振りをするのを一度だけ見たことがある.ダチョウのオスと同じように片方の羽を地面に引きづり,傷ついた振りをして,危なくなったら少しだけ空を飛んで逃げる.決して遠くまで逃げず,イヌを引きつけていた.メスとヒナはその間に茂みに隠れてじっと動かない.ヒクイドリ,キウイ,エミュー,モア,レアなどが含まれる走鳥類のダチョウとキジの仲間のニワトリとでは進化の過程が全く異なる(走鳥類を鳥類と区別して鳥類より原始的なものとする説もある)が,空を必要以上に飛ばなくなった鳥と言う点で共通の鳥達が似たような行動をすることに驚いた.


 

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