波野プレイキャンプ(秋編)

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 2003年10月25,26日に波野の家で子供達16名を集めてプレイキャンプ(秋編)をしました.緑のまちづくり交流協会の主催で損保ジャパンが支援し,グリーンヘルパーの会の協力で行ったもので,8月2,3日に行った夏編に続いて行ったものです.夏にみんなで播いたソバの収穫,粉ひき,ソバ打ちなどを行い,美味しく食べました.また,今回の最大のイベント,茅葺き家も無事できました.
 その他,ノコギリ,ナタ,ナイフを使って裏山の竹でコップ,はし,竹皿などを作り,かまどでの炊飯、炭起こしを経験しました.五右衛門風呂を炊き,抜け穴探検で汚れた身体を洗い,疲れを癒しました.夜は,田添さんのちょんかけゴマ,樋口さんの熊本弁での創作童話を楽しみました.便利な生活に慣れた町の子供達には,田舎の生活の大変さより楽しさが先のようでした.
 
 


茅葺き(かやぶき)家を建てよう!


 
 

 まず,裏山のスギを切ってきて骨組みを作りました.根本は長持ちするように焼きました.


茅(かや)の準備
 


 
 

 茅(かや)を揃えて結び,運びます.茅(かや)は,予め岩下一之進さんに準備をしてもらいました.茅は,実際にはススキのことです.かなりたくさんの茅が必要です.


竹を固定

 竹を4つに割り,スギの柱にクギで打ったり,シュロ縄で結んだりして固定します.竹は縦に割れやすいので予め割れないようにドリルで穴を開けます.この竹や木に茅を結びつけていきます.
 
 


茅を葺く

 岡田さん,田添さん,岩下さんの指示の元,千枚通しなどを使って茅をとめていきます.子供達にはちょっと難しい作業でした.


屋根に登る

 子供達は,高いところに上って竹を切ったり手伝いをよくしました.


茅葺き家の企画者岡田さん
 

 千枚通しで茅を固定します.右奥に納屋,右手前に昨年作った竹小屋,中央奥に母屋,手前に五右衛門風呂の建物も見えます.


完成

  合掌造りに似た茅葺き小屋が完成しました.最後にみんなで記念撮影です.納屋は見えませんが,右手前に昨年作った竹小屋,中央に五右衛門風呂,奥に母屋,左奥に牛小屋などの建物も見えます.


道具の紹介(1)

 

 篭手(こて)で端を揃えます.


道具の紹介(2)用いた昔の道具


 

今回用いた道具です.篭手が2種類(右),茅に隙間を作るナタ鎌と竹に穴を開け,シュロ縄を通して縫う千枚通し(左)などの古い道具が電動の道具と共に活躍しました.


ソバの収穫

 8月3日に播いたソバを鋸鎌を用いて収穫しました.除草が十分できず,雑草の多い畑になってしまいましたが,それでも自分たちで播いたソバを一生懸命収穫しました.普通はソバは余り除草しなくても作れる作物なのですが,前年のこぼれ種が多く,必ずしもよくできたとは言えませんでした. 


やったぞー!

 鎌を使うのが初めての子供が多く,最初は切れませんでしたが,刃物は斜めに切らないと切れないことなど教えてもらって要領を得ました.



唐箕(とうみ)


 

 唐箕(茅葺き小屋の手前にある木でできた道具)を使って穀物から秕(しいな)・籾(もみ)などを吹き分けました.子供達には人気の仕事でした.右の子供達は焼き芋,左の子供は風呂炊きをしています.
 


 穀物を食べるには,多くの場合,粉にする必要があります.粉にするには,主に石臼で挽く,つき臼でつく,すり鉢で擂るという3つの方法があります.元々臼とは漢字の形からも想像できるように石でできた’ひき臼’の事ですが,日本では,お米を主食にしていたため,江戸時代を除き,あまり普及しませんでしたので臼といえば餅つきで使うつき臼をイメージします.波野の家には,非常に珍しい’くびれ臼’とハンマー型の横杵ではなく,’縦杵(たてぎね)’があります.それは,まるで,お月様に住むウサギのようです.以前はヒエなどをついていたものと思います.
 


ソバ打ち


 
 

 近くで窯元(青青窯)をしている戸田さんの奥さんの指導で手作りのそばを打ち,美味しく食べました.ダイコンは地ダイコン,お米は波野の家の共同所有者の木之内農園でできたもの,椎茸は隣で作っているもの,シメジは近くで採集してきたものでした.その美味しかったこと,満足満足!!


竹細工

 ノコギリ,ナタ,ナイフを使って裏山の竹を切り,コップ,はし,竹皿などを作りました.刃物は危ないと言って子供に持たせない家庭が多いと聞いています.ここでは必需品です.


洞窟(抜け穴,水源)探検
 


 
 

 抜け穴(洞窟)探検が子供達には一番人気でした.最初は怖がっていた子供達も最後は面白くて何度も何度も挑戦しました.
 阿蘇は牛の放牧だけでなく,広い水田もあります.しかし,外輪山の上にある波野村に降った雨は地下水となり,大分や熊本で湧水などの水源になりますが,波野村には川は少なく,水田はあまりできませんでした.従って,収量の少ない陸稲(おかぼ,熊本では野稲とも言う)が中心でした.そこで,水を得るため,150mもあるこの抜け穴を掘り,2,3年は得られた水で水田ができたそうです.ただし,このような目的で掘られた穴は,これ以外に聞いたことも見たこともありません.波野の人々にとって水は金銀サンゴ綾錦(宝)にも優るものだったのです.


五右衛門風呂

洞窟で汚れた身体を風呂で洗いました.


散策
 


 

周りを散策しました.ヤマノイモの実で天狗の鼻にして楽しみました.


シメジ

 別のところでは野生のシメジもたくさん収穫しました.人通りの少ない道の上にあるのには驚きました.


アケビ
 


 
 

 田添さんがアケビ(頭の左上など)の蔓を下ろしているところです.子供達と持ちきれないほどアケビを取り,食べました.普段甘いものを食べている子供達に自然の恵みを感じてもらえました.食べられるところも少なく,余り好評ではありませんでしたが,口に入れた種を飛ばして遊んでいました.