ゴバンノアシ


 西表島で,碁石のような模様のあるニセゴイシウツボと碁盤の足の形をした約8cm四方の四角い大きな実をつけるゴバンノアシという植物を見て来ました.ゴイシウツボは西表島の珊瑚に巣を作っているので私は毎年見るのを楽しみにしていますが,結構恐い魚で近寄るのは危険です.一方,ゴバンノアシという植物は,サガリバナ科の植物で,フィリッピンから種子が流されてくるものです.

 

 

ゴバンノアシBarringtonia asiatica(Sep. 7, 2006)

 

ニセゴイシウツボ(Aug. 6, 2010)

 和名は,ずばり「碁盤の足(=梔子(くちなし))」に果実(写真左)がそっくりなことから来ています.見たら驚きます。大きさと言い,形と言い,ゴバンノアシです.囲碁の好きな方ならその大きさや形からすぐに納得できる名前です.木は,5mくらいになり,実も大きいのですが,花も径15cmと大きく,白い花弁に雄しべ(花糸)は光沢のある赤紫色で,それはそれは,見事なものでした.

 フィリッピンなど熱帯に自生し,台湾や日本には自生していないのですが,海水に漂流して日本に流れ着くことから漂流種子として有名です.本州にも海岸に打ち上げられているのではないでしょうか?知らなかったらヤシの実の一つくらいに思うかも知れません.西表島白浜の金城旅館の女将さんは,自然が好きで色んな情報をもらいます.海岸を歩いて集めていたものを以前一つもらって植えましたが,発芽しませんでした.その白浜の民家で漂流種子を播いたものに初めて花が咲きそうだということでしたので見に行きました.カラスくらいの大きさのオオコウモリが飛ぶ8時頃でした.

 

サガリバナBarringtonia racemosa(Sep. 7, 2006)

 西表でマングローブ林から川を上っていくとサガリバナの群落があります.先日,夜明けの川面に浮くサガリバナの花を探しに西表に行くテレビの番組がありました.このように夜咲く幻想的な花ですが,昼でも美しい花が残っていることがあります.花には日本で一番大きな蝶で優雅な飛び方をするオオゴマダラが集まり,花も綺麗なので,そこにいると不思議の世界に迷いこんでいるような気がしてきます.

 こんなことを知ったからといって囲碁が強くなるわけではないですが,囲碁ファンの方,どう思いましたか?  

P.S. tomo15さんから「英語ではフィッシュポイゾンツリーといって、魚をとるのに使う、と書いてありました。種子に毒があるのでしょうか。」という書き込みがありました.東南アジアにおいてそういう方法で魚を捕っている番組を見たことがあります.これかも知れませんね.そう言えば,漂流種子であれば途中で魚に食べられないように毒を持つのも頷けます.西表には世界一長い果実をつけるマメ科のモダマという植物があるのですが,これも漂流種子です.ツルの長さは1kmにも伸びることがあるそうで,私が見た一番大きなものではツルを歩いて木まで登れるくらいでした.


 

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