(第17話 障害物があると回り道ができない)
「人間の行動より犬の行動の方がよく分かる,犬の行動よりニワトリの行動の方がよく分かる」と書いたら変人扱いされるだろう.しかし,私には複雑怪奇な人の行動,特に女性の行動には理解しがたいものを感じているのに対し,犬やニワトリの行動,気持ちは実によく分かる.
その理由の結論を先に書くと,犬やニワトリの行動は単純だからである.犬がシッポをよく振るのは,親愛の気持ちを伝えたい時である.鳴き声にしても唸り声は威嚇のためで,そんな時近寄ってはだめだし,自己主張をする時,ワンワンと鳴き,痛い思いをした時にはキャンキャンと鳴く.ワオーンワオーンという遠吠えをするのはオオカミの習性で,縄張りや遠くの仲間とのコミュニケーションであろう.順位に対するこだわり,積極的なオスの行動と受け身のメスの行動,餌に対する習性,仲間,特に子供に対する愛情,言葉を理解する能力,など犬の行動は,人間と共通の所もある.また,ある程度,人間の言葉を理解する能力も持ち,訓練をすると学習して言葉に反応して従順に行動する.ただし,犬は,人のいない時に物を壊したりすることがあり,人間にとっては迷惑なことで,怒ると恐縮したような顔をし,理解しているように見えるが繰り返す.本当に理解しているかどうかはちょっと分からない.してはいけない,叱られることは分かっているが,してしまうということのようにも思える.そこまで含めて,犬のしそうなことは,ある程度予想がつく.
一方,ニワトリは,犬よりもっと単純である.それでも,それなりの記憶力を持っている.オスがメスに餌の場所を教えるときの「コッ,コッ,コッ,コッ」と鳴くのと似てはいるが,「とっとっとっとっ」と呼ぶと寄ってくるようになるし,アシナガバチの幼虫やジョロウグモなどのように自分では食べたことのない虫でも味を覚えると喜んで食べるようになる.明らかに学習している.一方,考える能力には疑問を覚える.犬であれば,障害物を避け,迂回する能力があるが,ニワトリは障害物があると回り道ができない.同じ脳の働きでも記憶する能力と考える能力とは違うもののようである.このように,ちょっと回れば来れるのに,障害物があって来れないときのニワトリの行動も想像がつくし,卵を産むときの行動,敵から逃げるときの行動,メスに対するオスの行動,オスに対するメスの行動,オス同士,メス同士の容赦のない行動,卵を抱くときのメスとオスの行動,ヒナに対する行動,子離れの行動,寝床を見つける行動,エサを探す行動,砂浴びなどくつろいでいるときの行動,トウモロコシやお米など結構飽きやすいという行動,いろんな状況での異なる鳴き声とそれに対する反応などニワトリの行動は比較的単純なので,どう行動をするのかは私にはよく分かる.ただし,同じ鳥でも,カラスはもっと賢く見える.