中江岩戸神楽

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2001年5月6日(岩戸舞)

 中江岩戸神楽は、明和年間(1764-1772),大分県御嶽神社から伝わり,その後今日まで伝承されてきました.他の多くの九州の神楽と同様,古事記神話「天の岩戸」神事を主テーマとして三十三座あります.里神楽,宮神楽,宮雅楽および久米舞の色彩を持つ衣裳をつけた舞楽を祈り混ぜ、五方礼始に始まり神で終わります.一部は舞われていませんでしたが,鈴木健二前熊本県立劇場館長が中心になってNHK衛星放送で平成2年1月に24時間連続生放送されたのをきっかけに三十三座がすべてが復活しました.現在三十三座すべて舞われている全国でも珍しい波野村中江の郷土芸能です.
 4月から11月までの第1日曜日13:00〜15:00に中江神楽殿で舞われています.


荻神社

2001年5月6日

 荻神社は,飛鳥時代に当たる1400 年前に最初はこの近くに建立され,移転したとされています.このような辺鄙なところであれば奈良・平安時代のものでも非常に珍しいのですが,境内の説明に書いてあるように本当にこの頃の神社であれば驚きです.しかし,よく考えてみるとこの頃あるいは飛鳥以前すなわち上古は,神武天皇(BC660〜BC581)に始まる縄文,弥生,古墳時代で,当時九州には大和朝廷や多くの王国(奴国,糸国,吉野ヶ里遺跡,畿内説もあるが邪馬台国も)が栄えた時代でした.しかも,九州には天皇家の2600年に次ぐ古い家系(約2000年)とされている阿蘇家(現在の阿蘇神社)があります.阿蘇家は,九州の中心が太宰府になる以前栄えた一族で,地元より天皇家との血縁が強く,また,熊本県を中心に宮崎,大分などに広い勢力を持っており,今でも阿蘇神社が多く存在します.荻神社のある波野村は,この阿蘇郡にあることを考慮すると1400 年前というのも納得できます.
 入り口には大きなトチノキが2本,境内にスギの古木が1本あります.私のアメリカにおけるHost Professor でノース・キャロライナ大学のDr. Parks とトチノキ(マロニエ)を集めて回ったことがありますが,トチノキのあったのは福岡県の英彦山,熊本県蘇陽村の幣立神社,宮崎県の八村神社など九州の山奥にある古い神社でそこではスギの巨木も見られました.トチノキからはクリのような大きな種子が取れ,得られたデンプンを用いて饅頭が作られることから危急植物として植えられたのかも知れません.また,スギは九州には元々自生しておらず神社を補修・改築するための材料として植えられたのかも知れません.あるいは宗教上の儀式などに関係したのかも知れません.ただ,少なくともこれらの木から(1)この山奥の波野でさえスギやトチノキを植える文化(ある時代のブームだったかも知れないが)が伝搬したこと,(2)古い大きな木が神社に風格を与えていること,(3)木の大きさから神社の歴史(年代)が想像できることは間違いないかも知れません.