本音と建て前


 「世の中,建前はきれい事で本音は別にある」と思っている方も多いと思います.しかし,いつの時代でも,企業も,為政者も,個人も,基本的にきれい事しか言いません.陰で仲間を裏切るようなことをする人でも表では一応筋の通ったことを言います.うさんくさいと思っていたけど話をしてみると中なか筋の通ったことを言うやつだと感心しては行けません.本当に悪いやつは,表では筋の通ったことを言うものです.また,最近の日本人の多くは,おかしいことをおかしいと本気で思っているけど,きれい事を言うのは世間知らずのように思われて言いにくいから言わないだけの気がします.一般に,世の中はこんな物だと知った振りをしたり,きれい事を言う者をバカにしたり,斜(しゃ)に構えたりする人には小者が多いと思います.すべての行為で神様みたいな方がいないのは分かっています.しかし,利害が関係しない分野での政治の汚さなどを嘆いたり,自分の子供に何かを教えたりする時,多くの人は「本音」できれい事を言うと思います.普段もできるだけ本音できれい事を言うと思っている以上の多くの方は案外納得してくれます.本音のきれい事を言うのは気持ちがいいし,ぶれませんので信頼を得ることができるという思わぬメリットもあります.きれい事だけでは通じないかも知れない世の中のことを囲碁の論理性で鍛えた素直な感覚で,原点に戻っていつも考えています.

 

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